青森県薬剤師会学術大会「保険薬局における残薬調整による医療費削減に与える効果」


保険薬局における残薬調整による医療費削減に与える効果

2016県薬学術大会(盛).JPG

発表者

盛 友莉恵(弘前調剤センター 薬剤師)


共同研究者

石川隆之、相馬渉、葛西孔明、阿保香織、髙橋和希


抄録

  • 目的

高齢者宅から大量に薬が見つかる事例が相次いでいる。当薬局でも以前から残薬がある患者様に対してその都度、疑義照会による残薬調整を行っていたが、返答に時間がかかるなどの理由により患者様から次回で良いなどと断られるケースが多かった。そのため残薬調整については事後報告で良いとする取り決めを作り、速やかに残薬調整が出来る環境を整備した。そこで従来の疑義照会を行っていた期間と事後報告を開始した同期間を比較することにより、どれだけ薬剤師が積極的に残薬調整が出来たのか金額ベースで調査した。

  • 方法

当薬局来局患者の2015年・2016年6、7、8月の薬歴から残薬調整の記述がある患者様について、残薬調整を行った医薬品の種類、金額、件数、受診科などを調査した。

  • 結果

実際に患者様の求めに応じて残薬調整を行った件数及び削減できた金額は、2015年6月は62/7,898件、146,023円、7月は76/8,051件、155,600円、8月は43/7,556件、114,160円であった。2016年6月は65/7,318件、20,3976円、7月は55/7233件、202,111円、8月は66/7675件、220,188円であった。従来の疑義照会を行っていた2014年6月は7/7,713件、29,261.4円、7月は2/8,494件、2,759円、8月は9/7,431件、18,758.1円であった。残薬調整は健生病院、健生クリニックすべての診療科で行われたが、受診科と金額の相関関係はなかった。

  • 考察

健生クリニックの処方に関して、2014年10月より残薬調整についての事後報告制度を行っている。従来の疑義照会を行っていた期間と比較すると、事後報告制度を開始後では残薬調整を行った件数、残薬調整によって削減できた金額ともに大幅に増加していることが分かる。これは事後報告制度により医師からの残薬調整についての返答待ちの時間がなくなり、薬局でも積極的に残薬調整が行えたため、患者様を待たせなくても良くなったことが考えられる。今後は単純に発生した残薬を調整により解消するだけではなく、アドヒアランスを向上させ、残薬が発生しない状況を作っていくことや、生活状況に合わせた用法を医師に提案するなども重要となっていくと考えられる。


発表データ.pdf

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