患者様アンケートによる生活実態調査~支払い困難患者様増加要因を探る~
発表者
工藤 敏子(弘前調剤センター 事務長)
共同研究者
髙松利昌、舘田総子、相馬渉、大川誠也、佐藤真由美、小田桐徳子、阿保香織
外部委員(吉田聖子、石田久、青山薫、藤原裕貴子、工藤ひとみ)
抄録
- はじめに
消費税増税、国保料の値上がりなど国民負担が増しているなかで、当社各薬局において支払困難事例が多くなっています。そこで、以下の2点を目的としてアンケート調査を行いました。
- 患者様が加入している健康保険との関係を深め、患者様の生活と負担する保険料、医療費、介護制度について患者様がどのように受け止めているのか、その実態を把握して運動に繋げる。
- 設問より社会保障制度の紹介になるように工夫し、まちかど相談薬局としての機能を発信する。
- 調査方法・対象
12月8日~12日にかけて窓口でアンケート用紙1,750部を患者様にランダムに配布し、回収は受取人払郵便にて行いました。
- 結 果
約530件(回収率30%)の方から回答を得ることができました。回答いただいた方の半数以上が70歳以上、国保・後期高齢者医療制度に加入している方が多く、収入は年金のみという方が約半数を占めていました。1年間の世帯収入は、250万円未満が多数を占めており、「健康保険料の納付状況は、決められた期日に遅れることもあるが何とか納付している」と答えた方が75.2%と大変苦労されている様子が伺えました。
- 考察・まとめ
弘前市は「青森県内10市で一番高い国保料」「国保料の滞納世帯は20%」「国保料軽減世帯率は52.5%」「国保資格証明書交付数は県内の3割を占める」状況です。医療機関の支払いと薬局の支払いを比較すると、薬局に負担感を感じている方が多くを占めていました。
今後、薬局で関わる困難事例は、ますます増えていくことが予想されます。お薬の専門家というだけではなく、困った時に気軽に相談できる身近な相談薬局の機能が求められていることから、民医連綱領の実践として全職員が困難事例に関わる取り組み・相談窓口の設置等を検討しています。