病薬連携による疑義照会ルール策定のとりくみについて
発表者
阿保 香織(弘前調剤センター 主任 薬剤師)
共同研究者
石川隆之、大川誠也
抄録
- 目的
薬局業務において、疑義照会は患者に安全な薬を提供するための必要不可欠な業務であるが、一包化や剤形変更など薬剤師サイドで判断可能な内容も多く見られる。また疑義照会により患者にさらなる待ち時間が発生することもしばしばある。このことから当薬局と医療機関の間で業務の簡略化を図れないか検討を始めた。今回の疑義照会手順に際して医療機関側にも聞き取りを行った結果、病院内部でも疑義照会を受けるにあたり抱える問題があることが判明し、双方がより良い疑義照会を行うための環境を整備する事を目的とした。
- 方法
まず医療機関の抱える問題点を明確化した。①疑義照会を電話でのみ行っている為病院側に疑義照会を行った記録が残っていない。②疑義照会の内容が処方内容に反映されていない場合があることが挙げられた。薬局側の抱える問題点は病院からの返答に時間がかかることである。そこで双方の問題を解決するため京都大学附属病院の取り組みを元に事後報告でも可能とする照会内容を検討することとした。
- 結果・考察
医療機関と協議した結果①剤形の変更②別規格製剤への変更③錠剤の粉砕や軟膏の混合④コンプライアンス等の理由で一包化する場合⑤残薬調整の計5項目について医療機関と同意書を取り交わし事後報告とすることにした。今回の取り組みで、この項目に関する疑義照会では大幅に時間を短縮することができた。さらに疑義照会の内容を医療機関に文書でフィードバックすることで処方内容の変更が確実に行われるようになり、複雑な残薬調整の場合でも正確に伝えることが可能になった。また薬剤師の判断で変更可能なので、コンプライアンス改善のため今まで以上に積極的に服薬状況など聞き取りする事が出来、存分に薬剤師の職能を発揮する事ができた。今後、質の高い医療を提供していくために外来のチーム医療は重要である。薬剤師がその職能を発揮し他職種や患者に理解、信頼してもらう事で"薬局で出来ること"を広げ、地域における健康管理の担い手として尽力していきたいと考える。