かかりつけ薬剤師となるために職能アピールを絡めた実践報告
発表者
大川 誠也(黒石薬局 薬局長)
共同研究者
小田桐徳子、津川なつみ
抄録
- 目的
2015年に大手調剤薬局チェーンの薬歴未記載問題や経営者の高額な報酬に端を発した話題は、医薬分業への貢献度の低さなどもあり調剤薬局バッシングが起こったことは記憶に新しい。その中で日本薬剤師会でも薬剤師の職能をアピールするべく、見える活動を推進。2016年度からは、かかりつけ薬剤師制度も始まり更なる職能のアピールの場が求められる中で当薬局の取り組みを紹介し、地域の中で求められるかかりつけ薬剤師について報告する。
- 方法
こども調剤体験で薬剤師の仕事を地域の子供を通して住民にも知ってもらう活動や健康教室開催、お薬手帳の新しい活用方法。投薬後、気になる患者様へ電話による体調確認、患者様との会話の中で服用薬の必要性を検討し積極的に医師へ服薬情報提供書を発行、地域包括ケアの中で、患者様の居住地域を考慮し他医療機関受診の際には声掛けを行って処方箋を持参してもらい服用薬の一元管理などの取り組みを行った。
- 結果および考察
健康教室やこども調剤体験では参加者から好評をいただき、お薬手帳の充実では薬剤師が患者様の薬物治療に貢献していることも知っていただけた。また、投薬後の体調確認では帰宅後の疑問等を解決できるだけではなく副作用の早期発見などにもつながっている。服薬情報提供書発行により、医師と連携した薬物治療も実施、処方箋持参の声掛けの結果、門前の診療所以外からの処方箋枚数や応需医療機関数も増加した。現在の薬剤師の社会的評価は薬を正しく渡す仕事と認識されているが、薬を渡すところまでが薬剤師の仕事なのか、渡した後まで責任をもって活動できるか、またかかりつけ薬剤師となった後にどこまでサービスを提供出来ているかが今後重要となるのではないだろうか。今回の報告でかかりつけ薬剤師へ繋げるキッカケと、かかりつけ薬剤師になった後にどういったことが出来るか参考としていただき薬剤師の職能を社会へアピールしていただきたい。なお、この発表において写真など個人情報保護など倫理的配慮を行っている。