健康サポート薬局認定後1年間の振り返り
発表者
大川 誠也(黒石薬局 薬局長)
共同研究者
石川隆之、小田桐徳子、小原晴子、津川なつみ
抄録
- 目的
健康サポート薬局制度が開始して3年が経過し、全国で多くの健康サポート薬局が誕生した。黒石薬局でも地域住民の健康をサポートするため平成30年5月に認定されてから約1年が経過し、健康サポート薬局として地域のために活動出来ていたかを振り返る。また今後健康サポート薬局の取得を検討している薬局に対して、認定後どのような変化があるのかを紹介することで取得への後押しをさせていただきたい。
- 方法
健康サポート薬局とは、厚生労働大臣が定める一定基準を満たしている薬局として、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品に関することはもちろん、介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる薬局のこと。住民の健康をより幅広く、積極的にサポートする薬局である。認定後地域住民のためにイベントの開催や来局者の相談内容によって、医療機関での受診の提案や、必要に応じ他の関係機関を紹介する機能を持つ。今回は健康イベントに参加した方のアンケート結果から求められた役割を果たせていたか、他の関係機関への紹介実績や取り組み実績、認定において揃えたOTC医薬品や介護用品の販売額の変化から考察する。
- 結果
健康イベントのアンケート結果では回数を重ねるごとに参加人数が増え、参加するきっかけも変化してきたことが分かった。紹介実績では認知症基本チェックリストを用いた紹介や健診受診勧奨の結果が若干ではあるが見られた。OTC医薬品の部分では大きな変化は見られなかった。その他、行政の各種委員会への参加を依頼された。
- 考察
当初は健康サポート薬局になることによる利点は正直不明だったが、地域住民が処方箋を持ってきてくれることや、口コミで健康イベントに参加するなど変化が見られた。また地域包括支援センターや健康推進課と連携して市の健康増進に寄与出来たと考察されるが、それ以上に行政からも頼られる薬局となりつつある。その理由として健康サポート薬局の連携機関同意書をいただくため各所を訪問し、健康サポート薬局についてしっかり理解していただけたことも要因の一つと考えられる。OTCの部分については立地の問題もあり、売上増とまではいかなかったが、品揃えを増やしたことから患者さんの相談に対応できる幅が増えたと実感できた。現在、国は地域包括ケアを推進しており、調剤薬局がどのように関わっていくか注視している。調剤薬局バッシングも記憶に新しい中で薬局の存在意義が改めて問われている。 この制度が調剤薬局の生き残りのためにも重要な要件を整える制度であることが立証でき、今後も地域住民の健康増進により一層寄与したいと考えている。
- キーワード
健康イベント